蟻という生き物
■アリと関係を持つ生き物たち -昆虫 バッタ目-

■アリヅカコオロギ
アリの巣で暮らすコオロギです。
コオロギといっても羽がなく、とても変わった姿をしています。
日本には10種類以上が生息しているようで、種類によって一緒に暮らしているアリの種類が異なります。
アリヅカコオロギはどのようにアリの巣に侵入するのかと言うと、アリの体を舐めて、その匂いを体に付ける事で、アリの仲間に成りすましているのです。
アリは視力ではなく、嗅覚によって仲間を識別するため、同じ匂いの付いたアリヅカコオロギを仲間だと思いこみ、エサを与えたりするのです。
しかし、アリがコオロギの存在に気がつき、攻撃をする事がありますが、アリヅカコオロギは、いとも簡単に攻撃をかわしてしまうのです。
この秘密は、おしりにある2本の長い毛にあります。
これは感覚毛と言うもので、バッタやゴキブリなどにある器官ですが、アリヅカコオロギは特に感覚毛が発達しています。
拡大してみると、感覚毛にはたくさんの細かい毛が生えていて、これで空気の振動を捉えることができるのです。
これによって、アリが攻撃しようと向かってきた時のわずかな空気の振動を感じ取り、ギリギリのところで、かわすことができるのです。
これは南西諸島に生息をするアシナガキアリの巣で同居しているシロオビアリヅカコオロギです。
このアリヅカコオロギは、今まで見てきた日本の種類の中では、最もうまくアリと共生しています。
お腹がすいたコオロギは、働きアリにエサをねだって口移しによってエサをもらいます。
アリ同士の口移しの場合、相手の頭を触覚で叩いてエサをねだりますが、アリヅカコオロギの場合は、前足でアリの頭を叩いてエサをねだります。



トゲオオハリアリは、他のアリのように口移しで餌を分け与えないので、コオロギも口移しはできません。
また、トゲオオハリアリは肉食性なので、このコオロギも肉食性なのかもしれません。


